相談員

介護保険~措置と契約の違い~

 2000年に介護保険制度が施行されると、介護保険は「措置から契約へ」と言われていました。介護保険が始まるまでは「措置時代」と言われていますが、そもそも「措置と契約の違いって何?どう変わったん?」という事を簡単に説明します。

 措置とは

 簡単に言うと、「個人や家族ではどうにもならず、行政が助ける事」です。保育園がいい例だと思います。保育園を利用するには両親が働いていることが必要で、その就業時間でも、保育園を利用できる時間が変わります。父母共に週30時間以上(職場の休憩時間も含む)働かないと、18時までの通常のお預かりはしてくれません。

 言い換えると、「仕事をしていて子供がみれないので、子供の面倒をお願いします!」という事です。それと同じように、介護保険が始まるまでは、「介護が出来ない理由」が前提で行政に助けてもらう形でした。なので、介護を提供する人や介護をする人も「助けてあげている」という考えが強かったです。

 この考え方自体は、医療・介護の世界では今でも根付いていて、「お世話をしてあげている」と勘違いしている人は今でも多いのが事実です。

契約とは

  契約は、当事者同士の意思表示が合致することで成り立つ法的行為を意味します。クライアント「依頼人・お客様」がいてコントラクター「受注者」で成り立つ関係です。そこに、細かい理由はいりません。ただ、措置制度の名残や介護が必要な方の優先順位を決めるためにある程度の理由は聞かれます。

 私自身の措置と契約の違いの考え方は、「措置は利用者」、「契約はお客様」です。措置は行政が「助けてあげる」という事ですが、契約は「助けさせて頂く代わりに報酬を頂く」という事です。 介護保険が始まり、契約になったことで様々な需要が浮き彫りになり、言い換えれば細かいニーズが分かり、サービス提供者側も介護に対して色々と考えるようにはなりました。

 なので、お客様に選んで頂けるように、そのニーズに答えるべく介護保険サービスはまだまだ向上すると私は考えています。そうしないと、社会福祉法人もつぶれる時代ですから・・・

最後に

「老人福祉法」という高齢者に対しての対応策である法律は1963年(昭和38年)に施行されています。福祉六法と社会福祉士の世界では言われる法律の1つです。しかし、介護の問題に関して、言い換えれば高齢者問題に対しての対応は遅く、国は高齢者問題を「自助(家庭)努力」に任せてきました。

 そして、良くも悪くもその名残が今でも残っています。

 相談に来る人の中には、心身共に限界になってくる人もいます。言い換えればギリギリまで介護をしてきたという事です。精神的に追い詰められている人も数なくありません。まだまだ介護保険が気軽に使いにくい風習があったり分かりにくいことがある証拠です。

 また、受注者側は高齢者であるお客様に敬語すら使えない現状も多いです。言い換えれば福祉の世界はまだまだ「助けてあげている」という感覚が根強く残ってます。

 介護保険は「契約」ですので、利用する側も「気楽」に、受注する側も「お客様」として認識することにより成り立つ関係にならないといけないのではないかなぁと個人的には思ってます。

 ただ、「お客様」だからと言ってなんでも我儘にしていいという事ではありません。受注者側も「出来る事・出来ない事」はありますので、お互い理解して同意をする中で契約を結びましょう。

-相談員